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新しい出会いがあるイベント

飛ぶ教室

第2回 加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

高橋源一郎×加藤陽子
2019.07.07 SUN
11:00 - 15:00

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3月で明治学院大学を退官された作家の高橋源一郎さんが、旧ゼミ生と一般参加者とともに、著者を招いて毎回1冊の本を読み解く「飛ぶ教室」が神保町ブックセンターを会場にスタートしました。第2回は7月7日(日)、対象となる書籍は加藤陽子さんの『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社、新潮文庫)です。

「飛ぶ教室」開設のことば

この三月、わたしは、十四年勤めた大学を定年退官しました。大学には、素晴らしいところも、そんなに素晴らしくないところも、それから、 とても残念なところもありました。あらゆる場所がそうであるように。
では、大学の「素晴らしいところ」とは何でしょうか。他の誰かとともに、自由に、 自分自身とそれから自分以外の何かのために、何かを学ぶことができることです。「他の誰か」が欠けても、「自由に」が欠けても、「自分自身とそれから自分以外の何かのために」が欠けても、ほんとうには学んだことにならないのではないか。わたしは、大学にいる間、そんなことをずっと考えていたのでした。そして、 大学が、その「素晴らしいところ」 を少しずつ失っていくように見えることを、悲しく思ってもいたのでした。では、わたしにできることは何だろう。

やがて、わたしは、いつか大学を去る日が来たら、そのときには、大学ではないどこかに、大学の「素晴らしいところ」を持った場所を作りたいと思うようになりました。そして、その場所を、仮に「飛ぶ教室」と呼んでいたのでした。
ドイツの作家、エーリッヒ・ケストナーは、彼の理想の学校を「飛ぶ教室」と命名しています。それは「漂流する、漂う」 教室であり、また同時に、ほんとうに「空を飛んで、どこかに行ってしまう」教室でもありました。おそらく、それは、教師と学生を乗せて、この世界の果てを目指す教室の意味だったのでしょう。ケストナーがこの理想の学校について書いたのは、ナチスが政権を握り、自分の作品が図書館から撤去された頃のことだったのです。

「飛ぶ教室」は、まず、東京神田から、わたしの(旧)ゼミ生諸君を交えてスタートします。一月か二月に一度、 この時代を理解するために必要だとわたしが考えている一冊の本を 選び、参加する全員で読み解きます。そこには、著者本人にも来ていただく予定です。
では、ボン・ヴォヤージュ! 良き旅を!

2019年4月10日
高橋源一郎

第2回(レッスン2)

明治以来、この国は、およそ半世紀にわたって長く苦しい戦争を戦ってきました。その時代の人たちにとって、戦争は日常でもあったのです。そして、太平洋戦争終結後、戦争は起こっていません。けれど、「戦争」は、もうわたしたちとは縁のない、歴史の本の中に書かれているだけの過去の出来事にすぎないのでしょうか。
過去をほんとうに理解できない者は、未来へ進むことができません。第二回の「飛ぶ教室」は、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社、新潮文庫)で、日本人が忘れ去ろうとしてきた「戦争」を現代の問題として蘇らせた加藤陽子さんをお招きして、「日本人と戦争」について考えてゆきたいと思います。
参加者は、同書を必ず読んできてください。また、それ以外の加藤さんの著作、『戦争まで』(朝日出版社)、『天皇の世紀8 昭和天皇と戦争の世紀』(講談社学術文庫)を読んできていただければ幸いです。

開催概要

【開催日時】
2019年7月7日(日)11時~15時
10:15 受付開始
10:30 開場
11:00 高橋源一郎さんによる講義
12:30 休憩 ※ご飲食は喫茶コーナー、または店外でお願いいたします。
13:30 加藤陽子さんによる講義&ディスカッション
15:00 終了予定

チケット代金2500円(ドリンク別)

※チケット販売:6月28日午前10時00分開始
Peatixのみでの販売・参加申し込み受付です。
(定員に達し次第終了いたします。)

【主催】
神保町ブックセンター

【協力】
岩波書店

【注意事項】
・キャンセルをご希望される方への払い戻しは、7月5日
 19時までにご連絡いただいた方のみとさせていただきます。
・キャンセルが出た場合のみ、追加分のチケットを
7月6日午前10時よりPeatixサイトで販売いたします。
・不参加による払い戻しはいたしかねます。
・イベントの録音動画撮影はお断りいたします。

高橋源一郎(たかはし・げんいちろう)
1951年生まれ。作家。横浜国立大学経済学部除籍。 2018年3月まで明治学院大学国際学部教授。 今回の「飛ぶ教室」の前身にあたる高橋源一郎ゼミについては、 岩波新書『読んじゃいなよ! ――明治学院大学国際学部 高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ』に詳しい。
著書:『さようなら、ギャングたち』(群像新人長篇小説賞優秀作)、『優雅で感傷的な日本野球』(三島由紀夫賞)、『日本文学盛衰史』(伊藤整文学賞)、『さよならクリストファー・ロビン』(谷崎潤一郎賞)。ほかに『一億三千万人のための小説教室』『101年目の孤独』『大人にはわからない日本文学史』『ぼくらの民主主義なんだぜ』『丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2』など多数。

加藤陽子(かとう・ようこ)
1960年埼玉県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。 東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は日本近現代史。
2010年『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』で小林秀雄賞受賞。 2017年『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』で紀伊國屋じんぶん大賞受賞 著書に『模索する一九三〇年代』、『戦争の論理―日露戦争から太平洋戦争まで』、『シリーズ日本近現代史⑤ 満州事変から日中戦争へ』『昭和史裁判』(共著)、『天皇はいかに受け継がれたか』(責任編集)、『天皇の歴史8 昭和天皇と戦争の世紀』他多数。

<対象書籍> 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
 https://www.asahipress.com/bookdetail_digital/9784255004853/
(単行本、朝日出版社刊)
 https://www.shinchosha.co.jp/book/120496/
(文庫版、新潮社刊)

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